不動産を売却するときには、さまざまな手続きがあります。普段聞き慣れない法律や法律用語が飛び交い、混乱することもあるかもしれません。場合によっては、ローン返済が難しくなり「任意売却」や「競売」という手段をとらざるを得ないこともあります。そういったことから、不動産売却に弁護士は必要なのかどうか、気になる方も多いでしょう。
【基本的には、不動産売却に弁護士は不要】
不動産を売却する手続きのなかで、「絶対に弁護士の立ち会いが必要」というものはありません。とはいえ、ひと昔前までは、不動産売買の手続きに弁護士が立ち会うケースが多くみられていました。たとえば、「売買契約の立ち会い」「代金受け渡しの立ち会い」「所有権変更時の立ち会い」などの場合です。このような場合、手続き内容が正確に公平におこなわれているかどうかをチェックするのが、弁護士の役割でした。
というのも、少し前までは、一定数の割合で悪徳不動産業者が存在しており、売り主にとって不利になるような行為をおこなっていることもあったからです。しかし、現在では悪質な行為をおこなっていた不動産会社の多くが取り締まられており、そのようなことも少なくなってきました。また、以前は現金で売買代金の支払いをするのが一般的で、1枚1枚、人の手で数えながら支払いをおこなっていました。しかし、最近では直接、口座に振り込む方法が一般的になり、安全に支払いを完了することができるようになりました。
このように、以前と比べると、不動産売買をおこなうにあたって弁護士が必要になるケースは、ほとんどなくなってきています。しかし、あえて弁護士にお願いするケースがあるとしたら、それは「不動産会社が手に負えないようなトラブルが発生したとき」です。
【弁護士が必要となる、不動産売買におけるトラブル】
一般的に、弁護士は「不動産のプロ」ではありません。ですから、不動産売却においては、「不動産のプロ」である不動産会社にまかせておいて大丈夫です。ただし、以下の場合においては弁護士が必要になってくることがあります。
●権利が複雑な物件に関するもの
「隣人と境界線などの問題でもめており、所有権が確定できない」「借地権付き建物を売却したいが、地主の承諾が得られない」「遺産分割協議や離婚などによりもめており、物件の売却後の取り分が決まっていない」などの理由から、売却予定の物件を売ることができないケースです。このように、さまざまな権利がからんで、物件を売りたいのに売れない場合、弁護士に「権利の調整」をお願いします。
●多額の損失を受けた場合
「瑕疵担保責任免責特約を結んだのに、買い主から修繕費用を要求された」「告知書に記載しなかったことが後から発覚し、買い主から損害賠償を求められた」「売買契約後、引き渡しの直前に解約をされた」などのトラブルが起きた場合は、弁護士の出番です。法律をよく知るプロの目で契約書や手続きの内容をみてもらい、対策をしてもらえるようお願いします。
●不動産会社とのトラブル
仲介してもらう不動産会社選びに失敗すると、味方であるはずの不動産会社との間でトラブルになってしまうこともあります。このような場合、弁護士に相談して今後の対応を考えます。そもそも、このような事態を引き起こすことのないように、仲介してもらう不動産会社選びを慎重におこなうことが大切です。
【任意売却でも弁護士は不要!?】
「住宅ローンの支払いができなくなり、このままでは競売にかけられてしまう」「任意売却の手続きをしたい」など不測の事態に陥った場合、「専門的な知識を持っている弁護士に相談したほうがいいのでは?」と思ってしまいがちです。しかし、このような場合でも弁護士は不要です。
なぜなら、弁護士は法律関係を担当するのであって、実際に物件の売却活動をおこなうわけではないからです。たとえば、弁護士にお願いして「任意売却」の形で物件を売却すると決めたとします。しかし、そこから弁護士が何かをするわけではなく、物件の販売価格の査定、実際に売り出す価格の設定、その他取引にかかわる交渉などは、すべて不動産会社がおこないます。
さらに、弁護士に相談するとしたら、もちろん着手金などの費用がかかります。ローンが支払えないのにも関わらず、さらなる負担がかかるようでは本末転倒でしょう。そのことからも、ローンを滞納してしまったら、早めに保証会社と話をして任意売却をするなどの対応策を考えましょう。このように、一刻も早く残債務を支払うことを考えるのが賢明だと言えます。
【例外的に弁護士が必要となるケース】
ここまで、「不動産売買において、弁護士は基本的には必要ない」ということを書いてきました。しかし、弁護士に相談したほうがよいケースもあります。それは「多重債務がある場合」です。この場合、弁護士から以下の選択肢を求められることが一般的です。
●自己破産をする
住宅ローンが支払えなくなるだけでなく、他にもさまざまな金融機関からお金を借りている場合、任意売却をおこなったからといってすべての問題が解決するというわけではありません。このようなケースでは、「自己破産」をおこなうことを前提にして、プロである弁護士へ相談したほうがよいでしょう。
弁護士に依頼すると、「弁護士が介入する」という通知が債権者へ向けておこなわれます。この通知を受けると、債権者はしつこい督促や請求をおこなうことができなくなります。また、かなり昔から返済を続けてきた人であれば、利息の引き直し計算ができたり、場合によっては過払い金が戻ってきたりすることもあります。
ただし、連帯保証人がいた場合、自己破産をしても連帯保証人の債務の返済義務は残ります。自分だけでなく連帯保証人にも迷惑をかけてしまうことにもなる「自己破産」は、なるべくおこないたくない方法かもしれません。しかし、多重債務をかかえて苦しんでいる人にとっては、全体的にみて、自己破産をしてでも弁護士にお願いするのが得策だと言えます。
●任意整理をおこなう
弁護士が債権者に対して、「返済額を下げる」「返済方法を変更する」などの交渉をおこないます。任意整理では、基本的には住宅ローン以外の債務を少なくして、全体の返済をしやすくするようにしていきます。任意整理をしたからといって、住宅ローンがなくなるわけではありません。しかし、多額債務を抱えている債務者にとっては、少しでも負担を少なくすることができる方法です。
●個人民事再生をおこなう
裁判所をとおして借金の減額をおこなう方法です。弁護士が裁判所に再生計画を出し、それが認められると、住宅ローン以外の債務が減額されます。こちらも住宅ローン自体がなくなるというわけではないのですが、債務者の負担を少しでも減らすことができる方法です。
【不動産売買にくわしい弁護士を選ぼう!】
契約内容のチェックや、物件の権利についての主張、トラブルの対応、債権者に対する対応策など、不動産売買において弁護士に相談するケースでは、不動産に対する深い知識が求められます。そのため、弁護士に依頼するときには、なるべく不動産について深い知識を持っている、不動産案件に実績のある弁護士へ依頼するようにしましょう。
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不動産売買において、弁護士は基本的に必要ないことがほとんどです。しかし、弁護士をお願いしたほうが、トラブルをスムーズに解決できることもあります。個人間でおこなう不動産売買の取引の場合、トラブルに発展する可能性も高くなります。不動産を売却するときは、信頼のできる不動産会社を見つけて、媒介契約を結ぶことからはじめましょう。そして、もしそれでも解決できないトラブルが起きた場合、不動産売買にくわしい弁護士に助けを求めましょう。
【不動産売却についてのご相談はマイタウン西武へ】
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